六章・とある猫達の一日。

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  「美雨さんと弥生さん大丈夫だった~?」 地面が揺れるような重低音でアイドリングしている車から運転手が降りてきた。 えっ…。 もしかして運転してたのって…。 「「麻衣さんッ!?」」 「うん♪ 昨日振りだね♪」 降りてきた運転手はコウの仕事場の店長の麻衣さんだった。 「鈴本くんに『仕事しろッ!』って怒られちゃったから、お使いをしててね♪」 麻衣さんは私達の元に駆け寄ってくると腰の抜けた私を引っ張って立たせてくれた。 「それで信号待ちしてたらゲーセンから二人が出てきて…何故か後ろから不良が追いかけてるしッ!」 それで助けてくれたのね…。 本当に助かったわ…。 「僕ビックリしたんだよ? でも二人が無事で良かったぁ~…。」 起こした私のお尻に付いた砂をパンパンッと叩きながら安心したように溜め息を吐いた。 「本当にありがとね…。」 「ありがとうなのです♪」 私達は麻衣さんに小さくペコッと頭を下げた。 「いぇいぇ♪ 二人はどうして、こんな所に?」 麻衣さんは車のボンネットに腰を下ろして私達を見ながら首を傾げた。 「家の近くを探検してたのです!」 「あぁ、ここ鈴本くんの新しい家の近くなんだ~♪ やっと現在地が分かった♪」 また道に迷ってたんだ…。 じゃ本当に偶然なのね…私の願いが届いたのかと思っちゃった。 「これからお店に帰るんだけど二人とも来る? コーヒーくらいしかないけどね♪」 携帯で時間を確かめた麻衣さんは車のドアを開いて私達に言った。 「あっ行きたいのです!」 「そうね…それじゃお願いします。」 特にすることはないしね。 疲れちゃったから休みたいわ…。 「はい♪ それじゃ車に乗って♪」 私達は車に乗り込み麻衣さんのお店に向かった。  
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