六章・とある猫達の一日。

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  ━━━━…。 「はーい♪ 到着♪」 クルクルとハンドルを回しながら駐車場に入ると車のエンジンを止めた。 ふぅ~…麻衣さんの車は乗ってて楽チンだったわ。 さすが運転も上手ね。 「あっ美雨さんと弥生さん、ちょっと待って?」 車から出ようとしていた私達を麻衣さんは呼び止めた。 「何? どうしたの?」 「うん…よいしょっと。 待ってね?」 パラッと開いたアルバムの表面に貼ってあるフィルムをバリバリと剥がした。 「はいっ♪ この写真あげる♪」 麻衣さんが剥がした写真はコウが優勝した時の写真だった。 「えッ!? 本当なのですかッ!?」 「でも…いいの?」 他の人の写真も貼ってあるけどコウの所だけ空いちゃうわよ? 「デジカメにデータが残ってるから平気だよ♪」 麻衣さんはフィルムを綺麗に貼り直してアルバムを収納に片付けた。 「そう…良かったわね美雨。」 「はいなのです! 麻衣さんありがとうなのです!」 コンコンッ。 車の窓が叩かれる音がして見てみるとコウが不思議そうに覗き込んでいた。 「店長お帰り。 んで、どうして二人が車に乗ってるんです?」 写真を美雨の鞄に仕舞いながら私達は車から降りた。 「えへへ~♪ 二人の美女を拾っちゃったよ♪」 車のトランクを開いた麻衣さんは袋を取り出すとコウに手渡した。 「拾った…? どういうことだ?」 「あはは…ちょっと外をブラブラしてたら━━」 私はコウに麻衣さんに保護されるまでの経緯を説明した。  
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