六章・とある猫達の一日。

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  「ふーん…二人が不良に追われてるのを店長が助けたわけね。」 お店の椅子に座る私達の前にカップに注いだコーヒーをコトンッと置いた。 「本当に助かったわ…麻衣さんが来なかったら、どうなってたことやら…。」 考えたくもないわね。 でも結果的に美雨に何もなくて良かった。 「こりゃ二人に携帯を持たせなきゃだな…。」 コウはコーヒーを啜りながら私達の隣の椅子に腰掛けた。 「「携帯?」」 携帯って、あの携帯電話のことよね? 電話したりメールとかも出来る、あれよね? 「おう。 携帯があれば、そういう時に連絡出来るだろ?」 「でも…いいの…?」 お金掛かるんでしょ…? 私達ばっかり…。 「良いぞ。 携帯があれば何かと便利だからな。」 「やったのです♪ 携帯なのです~♪」 美雨はコウに後ろからギュッと抱き着いた。 「ってなわけで店長。 今日は早めに上がらせてもらいます。」 コウは立ち上がると着ていたジャケットを脱いでロッカーに投げ込んだ。 「了解した♪ 今日はお疲れ様♪」 え…良いの? コウの方が偉いみたいに見えるわね…。 「それじゃ二人とも携帯買いに行くか!」 キーを取り出したコウは私達の頭に手をポンッと乗せて車の方に歩いていってしまった。 「えっ…本当に良いの?」 コーヒーを啜りながらニコニコと私達を見ている麻衣さんにチラッと視線を送った。 「今日は暇だから大丈夫♪ 携帯買ったらメールしようね♪」 麻衣さんはスッと立ち上がると私達のカップを片付け始めた。 「そうなの…? うん…じゃ行ってくるわね。」 「麻衣さん、またなのです~♪」 手を振る麻衣さんに軽く会釈してからコウが居る車の元に走って向かった。  
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