六章・とある猫達の一日。

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  ━━━━…。 「相変わらずデカイな。」 「デッカイのです~♪」 本当に何回来ても、この大きさには驚くわね。 私達は前にも来たことのある大きなデパートに携帯を買いにやって来た。 「よしっ着いた。 降りていいぞ。」 コウは車のエンジンを止めながら隣と後ろに座る私達を見た。 「ねぇコウ? 本当にいいの?」 車から降りた私は先を歩くコウにボソボソと小声で言った。 携帯だってお金掛かるでしょ? しかも月々掛かるんじゃないの…? 「ん? お前達とメールってのも楽しそうだからな。」 「ご主人様といつでもお話出来るのです!」 コウの背中に飛び付いた美雨は嬉しそうに頬擦りしながら歩いていた。 何か気が進まないけど…。 美雨だけ携帯買うのでも良いのに…。 「よしっ二人とも好きな携帯を選んでこい。」 携帯屋さんの前に着くとコウはビシッと目標を指差して言った。 「えっと…好きな携帯って言われても…。」 「よく分からないのです…。」 沢山あるわね…しかも全部、形が違う。 色も選べるみたいね。 「俺はいつも見た目で選ぶ。 最近のは機能なんか似たり寄ったりだからな。」 見本の携帯を手に取って開いたり閉じたりを繰り返すコウ。 「じゃあ…わたしはこれにするのです♪」 美雨はピンクのスライド携帯を手に取って開こうと力を入れた。 「あ…あれ? これ開かないのです…。」 開かない携帯を一回転してみても開け方が分からないみたい。 「開け方が違うんだと思うわよ?」 「どれ…んっ、これは上をスライドさせて開くんだ。」 コウは美雨からヒョイッと携帯を奪い取り楽々とカシャッと開いた。 「にゃ! シャキーンってなったのです!」 シャキーンって…。 あっ、でもカッコイイわね。  
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