六章・とある猫達の一日。

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  ━━━━…。 「おーい! 二人とも契約出来たぞ~!」 待合室の椅子に座っていると大きな袋を二つ持ったコウが私達の元にタタタッと駆け寄った。 「美雨のがこれ。 んで、こっちが弥生のな。」 「あっ、ありがと…って重ッ!」 わわっ…。 どうして、こんなに重いの? 「あ~…説明書だろ。 尋常じゃないくらい厚いからな。」 コウは苦笑いしながら私達の隣にスッと腰掛けた。 へぇ~…。 説明書なんて親切━━ 「んにゃ~! 説明書なのによく分からないのです~!」 でも分からなきゃ意味ないわね。 うん…無意味だわ。 「俺が教えてやるから大丈夫だろ。」 あはは…と苦笑いしながら自分の携帯を取り出して開いたコウ。 「あっ…コウの携帯…。」 「やっぱり何も付いてなかったのです!」 本当に何も付いてないわね。 さすが美雨。 「んっ…じゃ食材買って帰るか。 早く携帯触りたいだろ?」 コウは時間を確認すると食品コーナーの方を指差して首を小さく傾げた。 「車なら沢山買えるわね。」 「お魚ッ! 今日はお魚なのですッ!」 美雨…さすがに猫でも飽きるわよ。 たまにはお肉も食べたいわ…。  
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