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コウは私の携帯もヒョイッと取ると慣れた手付きでカチカチッと操作をした。
「んっ…弥生のもOK。 じゃ送信ボタン押していいぞ。」
「「はーい。」」
私と美雨は『せーの』で二人一緒に送信ボタンを押した。
そして画面を見ると送信完了の文字が表示されていた。
ふぅ~…これで今頃、主人様の元に届いてるのね。
何か不思議…。
「よーしっ完成した。 我ながら力作だ。」
コーヒーを啜るコウはニヤニヤとしながら携帯の画面を見詰めていた。
「コウは何て書いたの?」
「ん? 見るか?」
テーブルに置いてあった携帯をスーッと滑らすように私の元に届けたコウ。
どれどれ…。
[公平なのです。
べっ…べつに嫌がらせでメールしたわけじゃないわよ!
帰りのついでにエクレアを買って届けてなのです!]
うん…愛を微塵も感じない。
私達への愛も感じない。
「どうだね弥生。 感想を述べたまえ。」
「どうって聞かれても…。」
これの感想を聞くコウの神経を疑うわよ。
ってか私達をバカにしすぎッ!
ピピピピピッ。
突然、単調な電子音が響き渡った。
その電子音は五秒くらいで、すぐに途切れてしまった。
「ん? あぁ美雨の携帯だ。 ほらっ光ってる。」
コウが指差す美雨の携帯は一定のリズムでピカピカとランプが点滅していた。
「あっ本当なのです! 有希さんからメール来たのです!」
「何て返ってきたの?」
美雨は『えっと…』と画面を凝視して四苦八苦しながら携帯をイジっていた。
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