1496人が本棚に入れています
本棚に追加
「大丈夫だから泣くなって。 チリ取り持ってきてくれるか?」
雑巾とかよりチリ取りで掬っちゃった方が早い。
それに熱いしな。
「うん…取ってくるね。」
弥生はタタタッと走って玄関に置いてあるチリ取りを取りに向かった。
それにしてもどうして料理なんてしたんだ…?
いつもはしないじゃんか。
ふと台所に目をやると何か置いてあることに気が付いた。
「弥生の携帯…? どうしてこんな所に。」
携帯が画面を開いた状態で立っていた。
俺はボタンを押して画面を確認した。
[やよいちゃんへ
おかゆは、おゆにごはんをいれて、にるのです!
さいごに、といたたまごをいれてなのです!]
と書いてある美雨からのメールが開いた状態で置いてあった。
「そういうことね…俺のために作ってくれたのか。」
料理苦手なのに作ろうとしてくれたんだな。
ったく…泣くぞ俺。
「コウ~! 取ってきたわよ~! 後は私が片付け…キャッ!」
チリ取りを持って走ってきた弥生の腕を引っ張って抱き寄せた。
「ななな何ッ!? どうしたのッ!?」
「ありがとな弥生…。」
チリ取りを持った弥生はキョトンッとしながら俺に抱きしめられていた。
料理が下手でも作ろうとした気持ちが嬉しい。
その気持ちだけで充分だ。
「え? そんなにチリ取り持ってきたのが嬉しいの?」
でも少しは出来るようになってくれなきゃ困るかな。
最初のコメントを投稿しよう!