七章・風邪引きました。

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  ━━━━…。 「はぁ…何してるのかしら私…。」 氷枕の一つも、ろくに作れないなんてダメ猫じゃないの…。 床に散らばった氷水を雑巾で拭いては絞りを繰り返していた。 真っ赤にかじかんだ手は感覚すら無くなっていた。 「弥生…大丈夫か? 俺が片付けるからいいぞ。」 ピョコッとリビングの扉から顔を出したコウ。 顔色は優れない感じだった。 「あっ…ううん。 大丈夫だから心配しないでいいわよ。」 真っ赤になってる手を後ろに隠してニコニコと笑ってみせた。 お粥の時は邪魔しただけだったからね…。 私も役に立たなきゃ。 「遠慮すんなって。 床、拭いてるのか?」 コウは洋服の袖を捲りながらヨタヨタとキッチンに入ろうとする。 あっ…また手伝ってくれるのかな。 それならすぐに片付く━━ 「だ…ダメッ! こっち来ちゃダメッ!」 「弥生…?」 私…また甘えようとしてるッ…。 体調悪いコウを助けたいからしてるのにッ…。  
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