七章・風邪引きました。

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  「大丈夫…一人で出来る。 一人でやってみせるからッ!」 私はコウの目を真っ直ぐ見ながら大声で叫んだ。 それを見たコウはキョトンッとしていた。 いつも何かに甘えてきたから。 一人で何かをやり切ったことなんてないかもしれない。 「こんなの簡単よッ! すぐに持っていくんだからッ!」 だから簡単なことでも…一人でやり切ってみたいの。 「ん…そっか。 じゃ弥生に任せた。」 コウはクルッと方向転換するとリビングの出口に向かった。 「雑巾はお湯で濯ぎながらやれよ。 その手はぬるま湯で温めてな。」 えっ…? 私の手…気が付いてたんだ。 コウはそのままガチャッと扉を開けて自分の部屋に戻っていった。 「よーしっ…やるわよ~ッ!」 このキッチンの床を隅々まで綺麗にするんだからッ! そして氷枕を作るんだもんッ!  
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