一章・帰ってきたッ!?

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  「んじゃ行くかー!」 玄関を開けて二人を外に出す。 そしてしっかりと家に鍵を閉めたのを確認した。 「はーい! 出発進行なのです!」 弥生の手を握って歩き出す美雨。 そしてそのまま二人は俺の車の横を通り過ぎて行った。 「ストップ、ストーップ!」 俺がそういうと二人はキョトンッとしながら振り返って俺を見つめた。 「どうぞ、お乗りくださいー。 送迎サービス中です。」 車の助手席のドアを開けると二人は驚いたように俺のもとに駆け寄ってきた。 「え!? これご主人様のなのですか!?」 「コウ、いつの間に車なんか!?」 ふふんっ、二人が居ない間にですよー。 しかもこれ改造車なんだからなー! 「凄いのです! わたしはご主人様の隣がいいのです!」 そういうと助手席にポンッと乗り込んだ美雨。 車内を見渡しながら嬉しそうにシートにもたれ掛かった。 美雨が楽しそうで良かった。 それだけで夢が叶った気持ちだ。 「それじゃ私は後ろに…って狭ッ! この隙間から乗るの!?」 「あっ、美雨、一回降りてあげて…これ2ドアだから助手席を倒して乗るの…。」 スポーツカーだからな…。 ってか先に美雨が乗っちゃうからダメなんだよ。 やっとこさ、二人を乗せると目的地の有希の家に向かい車をゆっくりと走らせた。 「久しぶりだわ…お母様元気かしら。」 後部座席の弥生は助手席のヘッドレストを抱きながら言った。 「お前達が居なくなってから大変だったぞ。 毎日のように俺ん家で酒飲んで騒いで。」 それはもう地獄絵図だった。 最近は落ち着いた…ってより麗香さんも忙しいんだろ。 「きっと麗香さん寂しかったのですね…あっ、ご主人様は?」 チラッと美雨の顔を見るとキラキラとした目で俺を見ていた。 「ま…まぁ寂しかった…かな?」 え…何なの、これ。 恥ずかしいんですけど。 「ふふふっ…寂しかったのですねぇ~♪」 キラキラとした目はニヤニヤとした目に変わった。 ん~…こんな子だったっけ。 もっと純粋無垢で可愛かったはずなんだが。 そんなことを話していると有希の家が見えた。 「着いたぞ~。」 有希の家の前に車を停めた。 「なんか凄い懐かしいわね…。」 「凄く久しぶりなのです!」 二人を降ろして鍵を掛けてから有希の家に向かった。  
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