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「まったく美雨は…取ってあげるわよ。」
ふぅ…と溜め息を吐きながら弥生は美雨を自分の前に連れて来た。
「あっ、ありがとうなので━━」
ベシッ!
「へぶッ! 弥生、ちゃんッ! す…少し、痛い、のですッ!」
「大丈夫よ。 取れてるから。」
取ると言っても掌でバシバシと美雨の頭を叩いてるだけ。
恨みでもあるのか、ってくらいに。
「そん、なに、ベシベシ、叩かないで、なのですよぉ~ッ!」
美雨は弥生の手をバシッと払いのけて俺の後ろに隠れた。
弥生ってこんなにSだったっけ…。
リアル往復ビンタを初めて見た。
「あんなにベシベシ叩かなくてもいいんじゃないのですかッ!?」
後ろから頭だけ出した美雨はガルルル~ッと唸りながら弥生に叫んだ。
少し弥生はやりすぎだな。
美雨が怒るのも分かる。
「美雨は頬が痛いだろうけど私は美雨を叩いて心が痛いのよ…。」
「や…弥生ちゃんも痛いのですか…なら仕方ないのです…。」
丸め込まれた~ッ!
美雨…今のは怒っていいんだぞ…?
「弥生、あんまり美雨をからかうなって。」
俺は後ろを向いて美雨の頭に付いてる桜の花びらを手で払い落とした。
「本当に美雨って、からかい甲斐があるわよね…ふふっ♪」
「からかい…? 何がなのですか?」
知らなくていい。
お前は知らないままの方が幸せなはずだから。
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