八章・桜祭りなんです。

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  「美雨と弥生は何か食べたい物あるか?」 そそくさと広場から退散した俺達は貸し切った駐車場にズラーッと並ぶ出店の前に来た。 「私は美雨に任せるわ。」 「あれは何なのですか? あの雲みたいなモフモフの…。」 美雨が沢山ある出店から一軒をピッと指差した。 「んっと…綿飴だな。 甘いんだぞ?」 「食べてみたいのです!」 嬉しそうに俺の腕に抱き着いた美雨。 「弥生も要るか?」 「美雨のを少し貰うからいいわよ。」 そうかい。 まぁ綿飴は一個で充分だよな。 「オジサン綿飴一個くださーい。」 綿飴屋のオジサンは『あいよ!』と威勢良く言うと機械の中心にザラメを入れる。 少しすると機械の中に綿状のアメが出来てきた。 「よッ! ほッ!」 綿飴を割り箸に上手いこと絡ませ少しずつ大きさを増していく。 「わわッ! どんどん大きくなるのです!」 「凄いわね~!」 それを見ている二人は目をキラキラと輝かせながら興味津々だった。 凄い微笑ましい…。 娘を見てるお父さんってこんな気持ちなのかな。 「一丁上がり! しっかり持ってな!」 「ありがとうなのです♪」 美雨が綿飴を受け取るのを見て俺はオジサンにお金を手渡した。  
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