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「ったく…本当に美雨は自由だな…。」
俺は空いた弥生の隣に腰掛けて走り回る美雨達を眺めた。
でも…楽しそうだ。
良い顔してんな…あっ頼むから転ばないでくれよ。
「あむっ…美味いッ! オジサンこれ最高だよ~♪」
ボーッとベンチに座っていると聞き覚えのある声が耳に飛び込んできた。
「ねぇ…今、主人様の声聞こえなかった…?」
やっぱりお前も聞こえたか。
でも仮にもアイツはアイドルだぞ?
「いやそんなわけないだろ。 祭りに来る暇なんて━━」
「あぁ~ッ! 公平くんと弥生じゃないか~ッ!」
い…居たよ…。
声が聞こえた方をチラッと見ると有希が手を振りながら走ってきていた。
「はぁッ…はぁッ…奇遇だね♪ 二人も来てたんだ♪」
出店で買ったのか有希の両手には袋が沢山ぶら下がっていた。
「今日は休みだったのか?」
「んーん♪ 仕事の帰りに桜祭りやってたから寄ったの♪」
ふーん。
相変わらず忙しいんだな。
「でも昨日のメールで『明日は休み』って言ってたわよね?」
「ギクッ…。」
油が切れたロボットのように、ゆっくりと弥生の方に顔を向けた有希。
「そ…それは気のせいじゃないのかな? 弥生?」
有希は口角をピクピクッとさせながら不気味な笑顔を浮かべていた。
「祭りに来るくらい暇だったの? アイドルなのに?」
「アイドルの休日って何もすることないんだな。」
忙しいとか思っちゃって悪かったな。
偏見だったみたいだ。
「くぅッ…暇で悪いかッ!」
「「べつに~?」」
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