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「あれ? あっ…有希さんなのです!」
有希に気が付いた美雨は頭に桜の花びらを乗せたまま走って戻ってきた。
「って、どうして地面が『の』だらけなのですかッ!?」
イジケた有希が地面に書いた無数の『の』をポカンッとしながら見ていた。
「あぁ有希がギネスに挑戦してるらしいぞ。」
「してないもんッ!」
あっ、そうなのか。
記録に挑戦してたのかと思ったぞ。
「美雨ちゃーん…公平くんと弥生がイジメるよぉ…。」
まるで捨て猫のようにウルウルした目で上目遣いする有希。
「まったく…有希さんをイジメちゃダメなのですよ?」
美雨は軽く、ふぅ…と溜め息を吐くと有希に手を差し延べた。
あっ…マズイぞ美雨。
あんまり有希に優しくすると━━
「ありがと…有希感激♪ むふふふふ~♪」
美雨の手を借りて立ち上がった有希は一度、距離を取る。
そして物凄い勢いで走って美雨に向かっていった。
「うぅ~♪ 美雨たん愛してるぅ~♪」
勢い良く地面を蹴って高く飛び上がった有希。
目の前には美雨がポカンッとしながら立っていた。
馬鹿ッ!
そんな飛び付き方したら怪我す━━
「にゃっ! 百円玉、落ちてるのです!」
あっ避けた。
上手いこと避けたなぁ。
「ちょッ! 避けちゃヘブッ!」
上手いタイミングで屈んだ美雨の頭上を掠めていった有希は地面に頭から突き刺さった。
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