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「なんちゃって♪ YuNowのこと好きなのかな?」
桜が付いた手をパンパンッと叩き払ってから女の子の頭を優しく撫でた。
「うん! 『小百合-サユリ-』ね、ユノー大好きなの!」
「そっか♪ それは嬉しいな~♪」
スッと地面から腰を上げた有希は女の子の目線に合わせるように屈んだ。
「いつも応援ありがとね♪ これからも頑張っちゃうぞ♪」
「お姉ちゃん本当に本当のユノーなのッ!?」
そりゃ信じられないよな。
こんな桜まみれの女が憧れのアイドルなんて。
「初めましてYuNowです♪ 本物だよ?」
女の子の小さな手をギュッと握った有希は嬉しそうに笑っていた。
「本当なんだぁ…小百合ね! ユノーの曲、歌えるんだよ!」
「そうなんだ♪ もしかしたらYuNowより上手かもッ…!?」
有希、嬉しそうだな。
良い顔してるよ。
「あっ…小百合、ちょっとパパとママの所に行ってくるね!」
何を思ったのか急に小百合ちゃんはタタタッと走っていってしまった。
それにしても…。
「さすが人気アイドル。 子供も知ってるとは…。」
蚊帳の外状態の俺達は小百合ちゃんの背中を見送る有希をボーッと見ていた。
「凄いわね…話してる時だけオーラを感じたわ…。」
「でも有希さん…体中、桜まみれなのです…。」
地面に突き刺さった時のままだからな。
手しか払ってないし。
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