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「ん? さっきの女の子なら『ママに怒られるから』と走って行ったが。」
ジョニーは乱れた前髪をかき上げながら公園の出口を指差していた。
「慌てた様子だったから声を掛ける暇がなかったんだね。」
「家から走ってきたんだもんな。 急いでたんだろ。」
両親に説明しないで出てきちゃったのかね。
怒られてなきゃ良いが。
「あっ、そっか…帰っちゃったんだね。」
有希は携帯の画面を見詰めて寂しそうにシュンッと肩をすぼめた。
「でも主人様、良いプレゼント貰ったじゃないの。」
「絵なんて羨ましいのです!」
二人は有希が持ってる画用紙を指差してニッコリと微笑んでいた。
「またいつか会えるわよ。 主人様はアイドルなんだから。」
「それで有希と肩を並べてたら面白いな。」
アイドルとしてな。
まぁそれはまだまだ先の話だろうけど。
「そっか…そうだよね! うん、そうだよ絶対!」
開きっぱなしの画用紙を丁寧にクルクルッと丸めた有希は大切そうに抱えた。
「んじゃ、そろそろ帰るか…日も大分、暮れてきたからな。」
「凄く楽しかったのです♪ また来年も来るのです!」
「うん、私もまた来たいわ。 なかなか楽しかったわね。」
食べ終えた容器の入った袋を持って俺達三人は出口に歩いて向かった。
「えっ…私はッ!? 置いていかないでよ~ッ!」
「早く来なさいよ主人様。」
有希は慌てながら俺達の後を追うようにタタタッと走ってきた。
そんなこんなで、きっと有希にとって得た物が大きい桜祭りになったはずだ。
俺達も良い思い出になったしな。
「僕を忘れてるぞ…? 毎回、放置じゃないか…ぐすッ。」
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