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「ふぅ…やっと出れた…。 猫と同じ道を通るのは無理があったな…。」
道無き道から脱出した俺は服に付いた汚れを叩き落としながら顔を上げた。
「って、ここ…商店街のすぐ隣じゃねぇか…。」
随分と遠回りしたな…。
真っ直ぐ行けば五分も掛かんないぞ。
さっきの猫をキョロキョロと見回して探すと隅にある空き地に居た。
「おぉ居た居た…って、ちょっと待てよ…?」
タタタッと空き地に駆け込み物陰に居る猫に顔を近付ける。
そこには子猫をペロペロと舐める、さっきの猫の姿があった。
コイツ、親猫だったのか。
だから必死こいて餌を探してたわけね…。
「それにしても可愛いな…ちょっと触らせて━━」
「シャーッ!」
ガリッ!
「痛ぇぇぇぇッ!」
子猫に手を伸ばした俺は親猫に鋭い爪で手の甲を引っ掻かれた。
イタタッ…。
そんなにムキになるなよ…って勝手に触ろうとした俺が悪いか。
「イジメたりなんかしないから大丈夫だ。 俺を信じろ?」
威嚇しながら膨らませた尻尾を逆立てる親猫の頭を軽く撫でる。
すると信用してくれたのか親猫は子猫から少し離れた。
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