一章・帰ってきたッ!?

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  「このデパートに来ると必ず洋服を見に来てる気がするな。」 「そうなの? コウはファッションとかに興味あるんだ?」 「全くない。」 俺は安くて丈夫で着れればいいっていうタイプだからね。 正直、男で服に興味がある奴の気持ちが分からん。 「ないのね…。 なら、どうして来るの?」 「毎回ここに来たがる奴がいるんだよ。」 「えっ…彼女…?」 弥生は寂しそうに俯いてボソッと小さな声で呟いた。 んなわけあるか。 彼女の『か』の字すら俺には縁がないぞ。 「違うって。 猫耳美女がここに来たがるんだよ。」 「あぁ…美雨ね。 確か、このデパートには思い出があるって言ってたわ。」 思い出…迷子になったことか? それともマネキンに話し掛けてたことか? 「ふふっ…そうか。」 いずれにしても、このデパートは俺にとっても思い出だ。  
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