一章・帰ってきたッ!?

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  ━━━━…。 「んっと…デジカメだろ…。」 どこだったかな。 トランクじゃなかったか…? 「ご主人様、寒くないですか?」 と美雨は薄着な俺の肩に自分の着ていたカーディガンを掛けた。 「あぁ、ありがと。 えっと…あった!」 なんだよ…カメラケースん中に入ってるじゃん。 使ったまま放ってあると思ってたのに。 カメラケースからデジカメを取り出してトランクをゆっくりと閉めた。 「それじゃ戻るのです♪ にゃ…にゃ…にゃふぃんっ!」 くしゃみを豪快にする美雨。 よく見ると肩をブルブルと震わせていた。 寒いの苦手なのに俺なんかを気遣うからだろ…。 まったく…。 「ほらっ美雨。 これで寒くないだろ?」 「にゃっ! 凄く…暖かいのです…。」 俺はカーディガンで覆うように美雨に後ろから抱き着いた。 「でもご主人様…お酒臭いのです!」 悪かったな。 放っといてくれ。 「あっ…ご主人様。 星が凄く綺麗なのですよ。」 空はキラキラと輝いていた。 冬の澄んだ空気で、より一層輝いているように見えた。 「本当だな。 今日は晴れてたから、よく見えるな。」 空を見上げながら俺は美雨に寄り掛かるように歩いた。 時々、肩に顔を乗せる俺を振り返って見る美雨。 大人っぽくなった美雨だが、こういう仕草は昔と変わらなかった。  
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