一章・帰ってきたッ!?

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  ━━━━…。 「ほれっ…入っていいぞ。 汚いけどな。」 荷物を二人が持ってくれたので猫だけを抱いた俺は家の鍵をガチャッと開いた。 「うわぁ~! 久し振りなのですぅ~!」 扉を開いた美雨は物凄い勢いで玄関を通って部屋の奥に消えて行った。 「弥生も入っていいぞ。」 「うん、お邪魔します。」 靴を脱いだ弥生は美雨が脱ぎ散らかした靴も整えていた。 弥生も凄い変わったな…。 昔も大人っぽいと思ってたのに今に比べると幼かったのか。 『にゃあ…全然変わってないのです!』 美雨の嬉しそうな声が奥のリビングから聞こえる。 俺達も美雨の元に向かった。 「凄いのです…懐かしくて泣いちゃいそうなのです…。」 リビングでは美雨が周りを見渡しながら目をウルウルとさせていた。 「そうだな…模様替えもしてないし、あの頃のままだな。」 「風鈴も大切にケースに入れて飾ってあるのです…。」 ガラスケースに仕舞ってある風鈴を見ながらボソッと蚊の鳴くような声で呟いた美雨。 「お前が大切にしてた風鈴なんだから当たり前だろ?」 美雨の頭にポンッと手を置いて顔を覗き込むと、もう顔はグシャグシャになっていた。 「ご主人様ぁ…わだじッ…嬉じいのれすッ…。」 ったく…泣き虫なのは変わらないみたいだな。  
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