一章・帰ってきたッ!?

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  「知らない間にアイドルになってたんだよアイツ。」 俺は呆然としてる弥生からリモコンを取って音のボリュームを少しだけ上げた。 「えッ!? これ本当に有希さんなのですかッ!?」 ソファーに座ってホットミルクを飲んでいた美雨はテレビにグッと近付いた。 「凄い綺麗なのです…。」 「そうだろ? やっぱり地デジは違うよな。」 そっちじゃないって? ただ地デジを自慢したかったんだよ。 「主人様がアイドルか…世も末って奴ね。」 「弥生ちゃん? 有希さん凄く綺麗ですよ?」 賛否両論だな。 でも何より…。 「地デジって凄いよな? 物凄い綺麗な画質だ。」 って美雨、睨むな。 違うのは分かってるから、そんな目をしないでくれ。 「主人様は、いつ頃からテレビに出てるの?」 「一年前にデビューして今じゃ引っ張り凧だな。」 そりゃもう物凄い人気で。 今、一番人気のアイドルって言われてるくらいだ。 「本当に世も末ね…。」 「そうだな…。」 はぁ…、と同時に溜め息を吐いた俺と弥生を美雨は呆れながら見ていた。 「まったく…二人共、やっぱり変わってないのです…。」 あはは…確かにな。 みんな昔のままで何か少しだけ安心したぞ。  
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