01

2/3
前へ
/3ページ
次へ
「…まいったな。寝る時間もありゃしない」 腕時計に並べられた電子の数字が示すam2:42の文字を目に、井桁 宗吾(いけだ しゅうご)は浅く溜め息をついた。 仕事場を出たのは15分ほど前であり、今から家に戻っても2時間眠れれば良い方だろう。 こんな毎日が続いては、いつか過労で倒れるんじゃないかとも思うが、そんな思いとは裏腹に仕事を始めて15年、変わらず身体は元気だ。 夜でも賑わいと人の色欲が交わされるネオン街、寒さを凌ぐ為に最近購入したばかりの黒いマフラーに鼻先を寄せて、井桁は自宅へと足を進める。  
/3ページ

最初のコメントを投稿しよう!

11人が本棚に入れています
本棚に追加