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「…まいったな。寝る時間もありゃしない」
腕時計に並べられた電子の数字が示すam2:42の文字を目に、井桁 宗吾(いけだ しゅうご)は浅く溜め息をついた。
仕事場を出たのは15分ほど前であり、今から家に戻っても2時間眠れれば良い方だろう。
こんな毎日が続いては、いつか過労で倒れるんじゃないかとも思うが、そんな思いとは裏腹に仕事を始めて15年、変わらず身体は元気だ。
夜でも賑わいと人の色欲が交わされるネオン街、寒さを凌ぐ為に最近購入したばかりの黒いマフラーに鼻先を寄せて、井桁は自宅へと足を進める。
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