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「あ、井桁さぁん」 賑わい見せながらも比較的に静かな通り道。ぼんやりと派手な服に身を包んだ女性、と言うよりは若い女の子たちを眺めていれば、一際甘ったるい声が自分を呼び止めた。 「何だ、お前また始めたのか?」 その声の主を確認すれば、真っ赤なドレスを揺らしながら声の主である彼女は店先から走り難いヒールで此方へと向かってくる。 「あ、違うよぉ。今日はお手伝いなの、ヘルプ少ないらしくてさぁ」 半ば呆れたように問う自分に慌てたように金髪を揺らし首を振ると、長い付け睫の付いた瞼を開閉し彼女は遠くの、薄暗い路地裏への入り口を指し示した。  
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