プロローグ

4/11
前へ
/75ページ
次へ
「駄目、駄目、ユリナの助手なんだから」 「……」 アラン君は、下を向いたままだ。 パーン! パーン! 外でクラクションの音が聞えた。 「迎えが来たよ。行くよー!」 ユリナは、アラン君を引っ張って、玄関を出た。 外にはパトカーが止まっていた。 ユリナとアラン君は後部座席のドアを開けてパトカーに乗り込んだ。 「ユリナちゃん、こんにちは!」 デカ顔の橋本刑事が運転席に座っていた。 「オス!おひさー」 ユリナとアラン君はパトカーに乗って、すぐに発車した。 「橋本刑事、容疑者はまだいないの?」 ユリナは運転している橋本刑事に訊いた。 「聞き込みを行なっているが、誰もいないよ。監視カメラにも何も写ってない」 「じゃ手がかりは第一発見者しかいないじゃん?」 「そう、だが、どう見ても犯人じゃない」 「それに、凶器の特定が出来てない」 「えー、キリ状の刺し傷でしょう、アイスピックか何かでしょう?」 「検死官の一報では、傷口を見ると空気銃のような物で撃たれたようだと言っている。だけど、弾がない」 ユリナは頭をフル回転させた。 「んー、じゃあ氷の弾!」 「そう、今の段階ではそれしか考えられないと鑑識も言っている。小林刑事も言っていた」 「厄介だね、氷の弾を撃つとは、血と体温で氷は溶けているでしょう、凶器無き殺人になってしまう。だけど、氷の弾を撃つとか犯罪至上、例は無いでしょう。氷の弾を撃つのは、とても難しいでしょう?」 「今までの犯罪では、ツララで、殺傷事件があっただけ。氷の銃弾は初めて」 「氷の銃弾か?実際できるのかな?」 「傷口の大きさは?」 「約3ミリ」 「3ミリか?どうやって3ミリの氷の銃弾を作るの、すぐに溶けてしまうでしょうし……んー解んない。アラン君どう思う」 「解んないよ。消える弾を撃ったのは間違いないみたい」 「消える弾か?撃った奴が必ずいるという事だね」 「うん」
/75ページ

最初のコメントを投稿しよう!

114人が本棚に入れています
本棚に追加