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「駄目、駄目、ユリナの助手なんだから」
「……」
アラン君は、下を向いたままだ。
パーン! パーン!
外でクラクションの音が聞えた。
「迎えが来たよ。行くよー!」
ユリナは、アラン君を引っ張って、玄関を出た。
外にはパトカーが止まっていた。
ユリナとアラン君は後部座席のドアを開けてパトカーに乗り込んだ。
「ユリナちゃん、こんにちは!」
デカ顔の橋本刑事が運転席に座っていた。
「オス!おひさー」
ユリナとアラン君はパトカーに乗って、すぐに発車した。
「橋本刑事、容疑者はまだいないの?」
ユリナは運転している橋本刑事に訊いた。
「聞き込みを行なっているが、誰もいないよ。監視カメラにも何も写ってない」
「じゃ手がかりは第一発見者しかいないじゃん?」
「そう、だが、どう見ても犯人じゃない」
「それに、凶器の特定が出来てない」
「えー、キリ状の刺し傷でしょう、アイスピックか何かでしょう?」
「検死官の一報では、傷口を見ると空気銃のような物で撃たれたようだと言っている。だけど、弾がない」
ユリナは頭をフル回転させた。
「んー、じゃあ氷の弾!」
「そう、今の段階ではそれしか考えられないと鑑識も言っている。小林刑事も言っていた」
「厄介だね、氷の弾を撃つとは、血と体温で氷は溶けているでしょう、凶器無き殺人になってしまう。だけど、氷の弾を撃つとか犯罪至上、例は無いでしょう。氷の弾を撃つのは、とても難しいでしょう?」
「今までの犯罪では、ツララで、殺傷事件があっただけ。氷の銃弾は初めて」
「氷の銃弾か?実際できるのかな?」
「傷口の大きさは?」
「約3ミリ」
「3ミリか?どうやって3ミリの氷の銃弾を作るの、すぐに溶けてしまうでしょうし……んー解んない。アラン君どう思う」
「解んないよ。消える弾を撃ったのは間違いないみたい」
「消える弾か?撃った奴が必ずいるという事だね」
「うん」
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