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「ねー今度はアラン君が、捜査して?」
「えー僕が!無理だよ」
「アラン君なら絶対できるから」
「あのーこれは難解な殺人事件なんですが?それに、テレビの犯人は誰だと言う番組でもないし」
橋本刑事が、バックミラーを見ながら言う。
「何でも良いじゃんかよ、絶対に二人で犯人を見つけます。ねっアラン君」
「うん」
アラン君はユリナに比べると存在感が全く無い。ユリナの言うがままだ。
暫くして、パトカーは城山学園のB棟の入り口の前に着いた。
警察車両が何台も停車している。
野村巡査が、ユリナを迎えに、入り口で待っている。
「ユリナちゃん、こっちです」
アラン君とユリナは野村巡査の後に続いた。
犯行現場は、入り口から右に20メートル行った所の廊下で、映像室の前だ。
六人の鑑識官が、死体があったであろう場所を入念に捜査している。
ユリナはまず、周囲の状況を携帯カメラで撮り出した。
パシャ、パシャ……
死体はもう無く、白い線でその形が書かれている。
ユリナは廊下を歩きながら、写真を撮っている。
パシャ、パシャ……
アラン君が、
「窓が閉まっているね。外からは撃てないよね」
「解んない、撃って閉めた可能性もあるし」
「そうか、推理ってあらゆる事を考えないといけないんだなあ」
「そう」
アラン君は、廊下の窓をまだ見ている。
「ユリナ、内側から鍵がかかっているよ、外からは無理だよ」
「アラン君、んー、そうかな、それも調べないとね」
ユリナはサッシ窓を丹念に見ている。
ユリナは携帯でパシャ、バシャと何枚かサッシ窓の写真を撮っている。
「ユリナ、今回の事件、厄介
だよ」
「今回は、本当にミステリー。ユリナにも全く解んない。出入り口は監視カメラがガチガチに監視されているのに容疑者がいない。そして、弾が消えた」
小林刑事が、廊下を歩いてユリナに近づいてくる。
「ユリナちゃん」
「あっ、小林刑事、コンニチハ!」
ユリナは小林刑事には満面の笑みを見せる。
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