少女A

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「B子は学校よ」 C子はいまだ尖らせている唇で、ぶっきらぼうに答える。 「B子はあんたや私と違ってちゃーあんと学校に行ってんの!」 先ほどのA子の態度が相当頭にきているのか、言い終わるなりC子はA子からぷいと顔を背けた。 「そうですか」 A子はといえばやはり特に気にした様子もなく満面の笑みで頷いた。 AM9時15分。 朝の日差しがプラットフォームに注がれる。前日までの曇り空はなく、久々に日の目が空から覗いている。 お陰で二月の突き刺すような寒さも幾らか緩和されているような気がした。 某駅のベンチに腰掛けたA子とC子。 隣のベンチには寝続ける老人。 「よく凍死しなかったよね」とC子。 C子の言葉はA子に届いたが右耳から左耳に抜けたようで、残念ながらA子からの相槌はなかった。  
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