38人が本棚に入れています
本棚に追加
人がゴミのように溢れる渋谷駅。
時刻、AM7時52分。
黒いセーラー服に黒いセーター。
林檎をぶちまけたみたいに真っ赤なスカーフ。
スカートから覗く二本のひょろりとした足は、慣れたように人混みの中を颯爽と歩いていく。
阿呆みたいに太った男子高生を早足で追い越し、向かってくるしがないサラリーマンを華麗にかわす。
漂白剤を混ぜたように白く不健康な肌が、マスカラマグナムで増やしたような長いまつげが、決して高くはないがバランスのとれた形のよい鼻が、そんな彼らにどう写ったことだろう。
最初のコメントを投稿しよう!