少女A

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人がゴミのように溢れる渋谷駅。 時刻、AM7時52分。 黒いセーラー服に黒いセーター。 林檎をぶちまけたみたいに真っ赤なスカーフ。 スカートから覗く二本のひょろりとした足は、慣れたように人混みの中を颯爽と歩いていく。 阿呆みたいに太った男子高生を早足で追い越し、向かってくるしがないサラリーマンを華麗にかわす。 漂白剤を混ぜたように白く不健康な肌が、マスカラマグナムで増やしたような長いまつげが、決して高くはないがバランスのとれた形のよい鼻が、そんな彼らにどう写ったことだろう。  
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