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A子の頭の中では、今現在この2月12日は地球滅亡五ヶ月前ということになっていた。
あくまで彼女の頭の中だけである。
テレビではそんなことは一切言っておらず、相も変わらず底抜けに平和な番組ばかりを流し続けている。
A子の思考に近しかった「人類滅亡の2012年」はもう四年も前のことだし、「人類滅亡」の四年後もこうして渋谷駅は賑わっている。
しかしA子の頭にはそんな予言は記憶の片隅にも残っておらず、来るべき五ヶ月後の「地球滅亡」に向けて考えを働かせていた。
A子は楽しみだった。
楽しみの余り二ヶ月前から学校へ行くのを止めた。
楽しみの余り一ヶ月前からバイトを止めた。
しかし地球滅亡とA子の謎の笑顔は全く関係ないものである。
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