少女A

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時間が立つのはあっという間だった。 A子は白昼夢に耽るあまり、時計の長針が360度回転した事に気付かない。 現在の時刻、AM8時52分。 A子の携帯に一通のメールが届く。 そこでA子は初めて自身が一時間立ち尽くしていたことに気付いた。 折角少し早めに家を出たA子だったが、意味がなくなってしまった。 とは言っても既に学校に通うことをやめたA子が今これからどこへ行くのか。 ただこの渋谷駅で白昼夢に耽るためにここへ来たのか。と言ったらそうではなく、今日のA子にはれっきとした用事があった。 「じゃあ一週間後の今日、井の頭線の某駅で待ち合わせしよう。時間は朝の8時30分でいいね」 一週間前の今日、そう言ったのはA子ではなく今から会うべき相手だった。 待ち合わせ時刻はとうに過ぎているがA子は特に焦りもせず、またメールを見ることもしないで、井の頭線へ乗り込んだ。  
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