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「今日は、ありがとうございました。」
丸一日付き合ってくれた愛子に礼を言う
「明日、また社長室に行ってな。あの社長、優しそうに見えるけど、けっこう厳しいし気いつけや」
「……はい」
よく、わからなかった
明らか、優しそうに見える社長が厳しい!?
さおりには、パッとこなかった
「じゃ、さおり。今日はお疲れさん」
「お疲れ様でした!!」
軽く手を振り、愛子は帰って行った
さおりはしゃがみ込んだ
まだ、ドキドキしている
深呼吸をする
「トイレなら中だよ」
不意に声をかけられた
振り向く
そこには、茶髪の男が立っていた
さおりと、瞳を反らした奴だ
「あっ!!いえ、トイレじゃないんですよ」
この人、さっき瞳が合った人だけど、男し、先輩かもしれないし、しゃべるときは敬語にしよう…
「あの、坂口レオナの妹だろ??あっ!ごめん。これ、あんたからしたら禁句だったんだよな」
ニヤニヤしながらこちらを見ている
最低な奴
皆、何もレオ姉のこと言わなかったから、どこか、安心していた
そうだ。少しわかってた
でも、欲望のほうが大きくなっちゃっていたんだ
「禁句なんかじゃないよ。レオ姉すごいもん。眩しくて見えないくらいの存在やもん……しかたないよ…えっと、ああなたは」
「水城。水に城で"水城"」
「水城くんはどう思う??レオ姉のこと」
「"くん"とかいらねーし。坂口レオナは凄いと思う。でも、俺、男だし、女モデルのことはあーだこーだは言えん」
「…そっ、そうだよね…」
下を向きながら答える
あたし、何言ってるんだろ
「さおり、モデルの時は姉貴のことは考えないほうがいいよ。んじゃ、おっつー」
呼び捨てをして、自分の意見をさっさと言って、水城は帰っていった
"姉貴のことは考えないほうがいいよ"
無理だよ
いつも、考えている
あと、どれくらいで追い付けるのかなとか、もっと、色んなこと考えてる
水城の言葉を気にしながらも、初出勤はこれにて終了
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