茶髪の男

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翌朝、再び社長室を訪れた そして、今日から何をするのかなど徹底的に教えこまされた 今日は、オーディション 多分、明日も明々後日も… 社長は取りあえず仕事もらってこい ってかんじの勢いだった 坂口レオナの妹だからって社長は遠慮しなかった 気をつかわしているのは一目瞭然だったけど、社長の気遣いは純粋に嬉しかった オーディション会場にはかわいい女の子モデルがたくさん来ていた 32番の番号を渡され、胸につけた 待合室には、背の高い女の子や頭がカールの子など、いろんな事務所のモデルが来ていた 番が来てなくてもドキドキする瞬間 さおりにとって、1番モデルなんだなと感じる時だった 「1番さんどうぞー」 オーディション開始 手足が小刻みに震えだす 高鳴る胸を左手で押さえる 目を閉じて想像する 最高の自分を…… 事務所が変わっても、オーディションのときの印象はかわらなかった あちらこちらで、レオナという名前が聞こえる わかっている。 皆、あたしを見て言ってる 見なくてもわかるって、すごいことなのかな よくわかんないや 「さおり……??」 聞き覚えのある声 顔を上げる 「…ミヨ!?」 こんなにすぐ会えるとは思ってもいなかった ついつい、笑みが零れる ミヨに会っただけなのに、こんなに喜んでいる自分に驚く 二人の会話は留まる勢いを知らないかのように止まらず進んだ 今日、1番楽しい時間 そう、思った 緊張は大分と落ち着き始めた 番が来て、中に入る その間は、少し、審査員と喋ってから、ポラを撮り、第一次審査終了した そして、明日発表される結果を胸に抱きながらミヨと別れた 合格している そう、信じて
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