81人が本棚に入れています
本棚に追加
「社長。おはようございます」
いつもこのあいさつからモデルの仕事が始まる
「はいはい、おはようさん。今日も朝からレオナと比べられて朝からブルーなんか??」
直球ストレート
朝から見抜かれ言わざるをえない
「あっ……はい…」
ははっと小さく笑う
皆飽きずに比べては自分より上の存在のように丁重にあつかってくる
でも、実際は違う
仕事なんか良くて週3回
悪くて週1回
ほぼフリーの状態
カメラマンやスタッフのかた達は私を坂口レオナと比べない
ちょっと嬉しい
でも、厳しい世界
切り捨てては切り捨てる
そして、最高のモデルを見つけ大人気になる
「限界かい??」
はあー!?
「どういう意味ですか」
「私は正直、レオナみたいに…いや、レオナ以上のモデルになるて思た。正直、手放すってことになるときつい。でもなー、あんたがこんな事務所で仕事したないって言うなら別や、ちょっと遠めな事務所に紹介したる。あっ!!でも、電車で行ける距離やから。んで、どないする??こっからは親とか関係なしにあんたが選び。」
もうその場で何も言えなくたった
複雑な想いに胸がいっぱいだった
静かにその場去った
「何々??どしたん?背筋曲がってんで。モデルやねんししっかりしーや」
背中をばしばしと叩かれた同期のミヨだ
不意に相談役になってもらおうかと思った
"あんたが選び"
社長の声がまだ、耳の中に残っていた
「ん??」
ミヨと瞳が合う
不思議そうに覗き込んできた
「あー何もない何もない」
手を左右に振って微笑した。姉と比べる同期の人達、先輩達
私自身を見てくれる社長
社長は私にどうしてほしいのかな
わかんない
でも、社長が言ったレオ姉以上のモデルになるという言葉を信じたい
……もう少し考えてみようミヨにも言わない
レオ姉にも言わない
あたしが考えないといけないこと
わかってるんだ
そのまま2人はオーディションに向かった
最初のコメントを投稿しよう!