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その晩、携帯が鳴った
見馴れたミヨの携帯番号だった
「もしもし」
「もしもし、ちゃうしー!!さおりどーいうことなんよ!!」
事務所を移転する話しのことだろう
「どーいうことって??」
わざとはぐらかしてみる
「はぐらかすんはやめて!!こっちはまじ話してんねん。」
冗談なんか通じない
「なんでなん!!レオナさんのこと??せやとしたら、何で今更なん??」
「ごめん」
「何で謝るんよ」
「社長にな"限界か"って聞かれて、もう限界やて言った」
反応なし
「だからって、ミヨと離れるんは嫌や……でも、このままも嫌やねん……自己チューやて思ったかもしれん。相談しんかったのも悪いと思ってる。だから謝る。ごめん」
「…だから…謝らんといて」
「ミヨ…??」
泣いていた
ミヨの泣いている声、初めて聞いた
「うちだって、さおりと離れるなんて嫌や…けど、今はそんなことよりも、うちはさおりの気持ちがわからんかった……謝るんはうちや…ごめんな」
もう、多くの言葉はいらなかった
「頑張りや」
とミヨ
「うん。ミヨも頑張りや。また、電話するな。じゃ」
「じゃっ……」
明日を想い、すぐ布団の中に潜り
友の想いを大切にしよう
本気でそう思った
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