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茶髪の男
「ここかー」
「Lanmo」というモデル事務所だ
駅から徒歩10分
家から30分
姉や家族に言えぬまま朝を向かえ、ここまで来た
父さんや母さんがこのことを知っても、どーってことないだろう。問題なのはレオ姉だ。自分のせいだなんてきっと、知りもしないマイペースな姉のレオナ
しつこく聞いてくるだろう
「はぁー」
小さくため息をもらす
事務所の中にはすんなりと通してもらえた
社長室のドアは綺麗な色だった
「社長、お客様です」
一緒に来てもらっていた警備員の男性がノックし話し掛けた
「入ってー」
心臓がドクドクと鼓動しながら動き出した
左肩に重さを感じた
振り返る
警備員の男性が優しく微笑みながら
「グッドラーック」
そう言い、親指を立てた
小さく、頭を下げ笑い返した
「失礼します」
中は殺風景だった
「あんたが麻由美の言っていた新人モデルのさおりさんね」
赤い眼鏡が特徴的でショートカットの髪型だった
「……ん!?あの麻由美とは」
「あんたがいた前の事務所の社長じゃない。うちら、幼なじみでさー、ってか、麻由美…いや社長名前知らんかったんやー以外やな」
あの、社長"麻由美"言うんかーい!!
知らんわ!!
「チクろかな…」
「あ゛ぁー!!それは勘弁してください」
半泣き
頭をおもいっきし下げた
「ははは。あんた結構おもろいやん。あたしの冗談わからん奴久しぶりや。あー、腹痛いわー」
いえいえ、社長。
あなたのほうがよっぽど面白いですよ…
「ほならー。お互い自己紹介といこうやないの。あたしはこの「Lanmo」の事務所社長やってます。"永井明香"です。よろしくな」
「私は"坂口さおり"です。よろしくお願いします」
第一印象は完璧にしておきたかった
「まず、ここ案内しなな。ちょいまち。」
電話を繋ぎ誰かと連絡していた
どんな人が来るんかなー
小さな好奇心
小さなテンション
いろんなものが覆いかぶってきた
胸が高鳴る
カツ カツ
足音が聞こえてきた
ドアを注目した
開いた……
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