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朝…。いつもと変わらない朝…。僕は、ふとあの日のことを思い出していた。
そう…僕が初めてあの人に出会った日のことを…。
僕の名はヤス。当時6歳の何処にでもいる普通の少年だった。
ただ、一つだけ他人と違うところ…いや、人より優れていたと言うべきだろうか…。
…魔法が使えた。
もちろんこの世界では珍しいことではなく、中学生になる頃には才能の無い一部の者を除けば誰でも使えるようになる。
だが、僕の場合は早すぎた。
おかげで周囲の人間は皆、僕を恐れるようになっていった。
尊敬する人もいたんじゃないかって?
ああ…いたさ。
じゃあ何故恐れられたか聞きたいか?簡単な話さ。
僕自信がそいつらを見下し、拒絶したからだ。
あの頃の僕はどうしようもないクズだった。
どいつもこいつも才能の無い落ちこぼれ、それに比べ僕は選ばれた天才。
誰も僕には逆らえない!
そう信じ込んでいた。
だから、他人を平気で傷つけ、陥れた。
僕に生意気にも説教してきた奴は、僕に二度と逆らわないように徹底的に痛めつけた。
…これ程のことをしたんだから、皆が僕を恐れ、忌み嫌ってきたのは当然のことだろう。
こんな僕を変えたのが、あの人との出会いだった…。
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