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――――あろうことか、彼が帰ってきたのだ。
それからの忙しさ、騒がしさは殆んど悪夢だったとしか言えまい。
チカに作らせたジントニックを煽るだけ煽って彼はいつものごとく寝てしまったのだが、箍が外れた客たちの勢いは止まることを知らなかった。
客一丸の呑めや歌え、鬼どもの大宴会である。
こちらも呑まされない為に必死だった。
放っておけば、最悪夜が明けても続くのではとチカは危惧していたが、マスターはさすがに大物である。
『皆さま、生憎ですが、お酒は枯れてしまったようです。申し訳ありませんが、本日は』。
酒は午前0時を過ぎたころに尽きた。
客たちもそこはそれ、常連の集まりなので…要するによくあることなので(それもどうかとチカは再三進言している)、鬼どもも哄笑しつつ帰っていった。
――――商売する気、ないよなあ。
しかしそのおかげで、チカは彼を担ぎ上げ、二階のベッドルームに放り込むことが出来たのだが。
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