1390人が本棚に入れています
本棚に追加
「お前も…寂しいなぁ。ご主人様いつもいなくて…」
手の中でテディベアが、少しも動かず笑みを浮かべている。
「寂しいのに、『寂しい』って言えないのって…辛くない…?」
歩美は小さく呟きながら、
目に涙を浮かべた。
「私はね…本当は素直になりたいよ。だけどね…素直になるのが怖いんだ。素直になって、無防備になって、受け止めてもらえなくて、そのまま落ちたら…私…壊れちゃうよ。」
歩美は目を閉じて力なく笑った。
「だから…私はお人形でいいんだ。ひねくれてるから、お前みたいに可愛くはないけどね。」
テディベアは、笑みを浮かべたまま、うずくまった歩美の頭を見つめていた。
最初のコメントを投稿しよう!