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「そういえば黒弥。明日、俺らのクラスに転校生がくるらしいぞ」
「それも裏情報か?」
「そうだ。そして、女子でかなり可愛いらしい」
「ふーん。別に関係ないけどな……」
俺は興味を失い、軽くスルーした。
(そう……。本当にどうでもいい)
俺は去年あった出来事を思い出していた。
あの時の少女に答えを示すまで、俺はこういうことに興味を持てなかった。
田舎から帰ってきた俺は物思いにふけることが多くなった。
そのせいで、誠や優海(ゆみ)や苺(いちご)に不審に思われていた。
期限は残り四ヶ月ほど。俺はいまだに答えを出せずにいた。
「はぁー」
「なんだ?今度はため息なんかついて」
「ん?ああ、ちょっと考え事をしててな」
俺は去年のことを誰にも話していない。
これは自分だけの問題、他の人に頼るわけにはいかないと俺は考えていた。
「何を悩んでいるかはわからないが、相談ならのってやらないこともないぞ?」
どうにも回りくどい言い方だったが、それだけで俺の心はいっぱいになった。
「ああ、ありがとう。でも大丈夫だ」
「そうか……」
それっきり誠はその話題に触れてこなかった。
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