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「そういえば、誠君。うちのクラスに転校生がくるって本当?」
優海は格安の月見そばをすすりながら誠に尋ねた。
俺が行儀悪いな……と思っていると、
「お行儀が悪いよ、優海ちゃん」
苺が俺の代わりに注意した。
「いいの、いいの、気にしない。いっちは細かい事を気にしすぎだよ」
優海の女の子とは思えない発言に苺は呆れていた。
「諦めろ、苺。こいつはこういう奴なんだ」
「そうだね。優海ちゃんはこういう子だもんね」
「ちょっと黒弥!それどういう意味よ!それにいっちも同意しない」
と食事中にも関わらず、大きな声で怒鳴る。
そのせいで周りの人から「何こいつら」的な目で見られる。
それに気付いたのか優海の顔は少し赤くなっていた。
「と、ところで噂の真意はどうなの?」
と小さな声で本題に戻した。
「ああ。確かな情報だ。間違いないだろう」
「あっ、やっぱり本当だったんだ」
苺も気になっていたのか、紙パックの苺ミルクを飲むながら聞いていた。
「やれやれ、そんなに騒ぐことかね」
「えっ?黒藤君は気にならないの?」
俺が呟くと、苺は首を傾げながら聞いた。
「いや、まあ興味ないしな」
「あんた、そんなこと言って転校生をいじめないでよね」
優海は鋭い目で俺を見てきた。
「失礼な。俺はそんなことしねぇよ」
そう言って俺は残りのカツ丼を掻き込んだ。
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