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「どうした?」
「いえ、私はこれを坊っちゃんに届けようと思ったのですが…。もう、お選びになってしまわれたのですか?」
手に持っていたのは一式揃ったスーツだった。
「まだ!もしかして…選んで持って来たのか?」
クスクスと笑い声を漏らしながら、手に持っていたスーツを渡して来た。
「坊っちゃんも大学生なので、必要ないと思いましたが…。」
少し膨れた真似をしてみせ、用意してくれた物を着てみる。
「しかし、やはり成長を感じますね。」
慣れないネクタイをしながら、アスルトムの話しに耳を傾ける。
「坊っちゃんが小さいときにはボタンは段違いになっていたりして、難しそうになさっていましたが…今ではこんなに早く着替えれるようになられて。」
「何歳だと思ってんだ!!」
ニコニコと柔らかい微笑みを浮かべる。
そして、俺が曲がったネクタイに悪戦苦闘していると手を差しのべてくれた。
「こういうところはまだ子供ですね。ふぅふぅふぅっ。」
「ガキ扱いすんなよ!!」
優しい手つきでネクタイを理想通りに締めてくれた。
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