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「フン…死ぬなよ…
ああ、勘違いするなよ?
お前に死なれると機関への報告が面倒なだけだ…!!」
“すまん”
そう一言言って汰彗は自慢の足で駆けていった
「生きててくれよ…」
二棟の階段を昇り教室へと飛び込もうとした刹那―
銃弾が汰彗の左足を貫いた
「生き残り発見…直ちに排除する」
抑揚のない声の主は紛れもない
クラスメイトの下野だった
「まさかお前…組織を裏切ったのか…?」
状況を理解出来ない
当然だ、
下野とは組織の同期として長年親しくしてきたはずだ
「裏切った?
僕はもともとこちら側だよ」
下野はそう言って銃口を汰彗から外さない
「純夏は……どこだ?」
三組生の数多の死体の中に彼女は見つけられなかった
「その問いに答える必要はない」
瞬間―――、
汰彗は下野の懐に飛び込む
左足の痛みはもはや感じていなかった
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