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「──あ、野里先輩じゃないッスか」
「うん?」
急に声をかけられ振り向く親友は一瞬だけ眉を寄せる。
先輩と呼ばれたところからして、話しかけてきた相手はもちろん後輩だろう。
ただ、女ではなく男。
中学、高校、大学…仲のよかった男の後輩なんていたっけ?
あたし達は親友である前に幼なじみ。
全てではないけれど、だいたいのことはお互い把握しているつもり。
「夢のないようなことを言ってると思ったら、瀧花先輩でしたか」
……うん?あたしを知ってる?
そこであたしは初めて料理から目を離して男を見た。
見目麗しい、目の保養にでもなりそうな、ニコニコと笑顔を振り撒く男、ともう1人。
「先輩方、お久しぶりです」
そうか、久しぶりなのか、ごめんよ?たぶん後輩なんだろうけど、記憶に全くないんだわ。
「里桜は毎年言ってるから夢がないとか言ってもわからないわよ」
もう1人の爽やか系のたぶん後輩の言葉に首を傾げていると真ん前からため息混じりの言葉。
「蘭ちゃん?あたしだってそんな毎年毎年言ってないわよ?」
「高3からずっと言ってる。もう耳にタコ」
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