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「親父様よ」
足の感覚が痺れのせいでなくなってきた頃、乱に助け舟が現れた。
「何だ、蒼(ソウ)」
乱と7歳離れた兄。火峰家の養子で、現在は高校生の彼は名前を蒼と言う。
「そろそろ、乱の修行の時間だ。お説教は続けられますか?」
丁寧なようで、砕けた口調。いつも飄々としていて、他人をからかうのが生き甲斐だと乱に教えたこともあった。
「今日は何の修行だ?」
「勿論、術の修行ですよ。そろそろ、乱に式神を行使する術を教えようかと思ってるんだが」
蒼はラフな格好なしている。はだけた胸元と、派手な金をした髪の毛。その格好を雁路は不快そうに一瞥した。
「通過儀礼は、また別に機会をもうける。……蒼、今晩、裏へ来なさい」
「……はーい」
雁路が部屋を出て行き、蒼が乱の前に座り込んだ。
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