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「…寒い。」
私は、白い息をはいた。
今、私の目の前には
大きいセンターがある。
『南条障害者センター』
ここは、表向きは
普通の障害者センター。
でも、本当は
社会から見捨てられた
人達が来る所。
私もその一人として
ここに来た。
「大丈夫?」
私をここに"捨てに行く"女が、私に手話をしながら聞く。
私は、無表情でシカトした。
女は、舌打ちをして
私に背中を向ける。
「手話…するんじゃねぇ」
私は、睨みながら言った。
私は、耳が聞こえない。
周りは私の為に、
色々してくれた。
…『同情』で。
私は、世界で一番
同情されるのが嫌い。
だから、私は手話を
されるのが嫌い。
ちゃんと、手話されなくても口の動きで分かる。
バカにしないでほしい…
ちゃんと分かってんのよ。
「本当…あんたがいなくなって、清々するわ」
聞こえないと、
思ってんの?
女は、ずっと私の前で
話し続けた。
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