第一話  昔話・はじまり

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しばらく歩いていると目の前には、白を基調とした西洋風の巨大な建物が見えてきた。  その建物の玄関のうえに聖王一族の紋章らしきものが大きくついている。  その紋章は、双頭の鷹が翼を広げ足には一輪の薔薇と巻物を足の鈎爪で持っていた。  その紋章の下をくぐり、玄関をあけてユーナとカインは、やしきのなかへと入る すると、眼前には、二本の大きな螺旋階段があり、屋敷に初めて足を踏み入れたものは皆、圧巻するだろう。  しかし、ユーナとカインは、その光景に見慣れているようすで、たまたま近くにいた召使に話かけていた。  「お父様は、今どちらにいるの?」  すると、めしつかいは、ただ事務的に書斎の方ですと伝え、自らの仕事に向かっていった。  目の前のかいだんを上りきったユーナは、突き当たりのひときわ目立つ扉の前へと向かう。  すると、そこで、カインがユーナに話しかけてきたのである。  「ユーナ様、どうか旦那さまの話に耳をかたむけて戴けないでしょうか?」  そんな話をするカインの表情は真剣素の物で、それに対し返答をしようとしたユーナは、一 瞬言葉を呑みそして、さいど口を開く。   「善処は、いたします。カインは、外で待ってていてくれる?」 その返事を聞いたカインは、ユーナのそのときの表情見て納得したのか、ただかしこまりましたというだけであった。
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