第一話  昔話・はじまり

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 その沈黙は、突然幕を閉じることとなる。  思い立ったが吉日といわんばかりに、お互いに口を開いたからであった。 「「あの・・・・・」」  それは、殆ど同時で、口を開いた直後、お互いに何か言おうとしていることにきずく・・  しかし、お互いに再び口を閉ざしてしまう。  このとき二人は、何か言いたいことがあったのは、確かだったが、先ほどのことでまた恥ずかしくなってしまっていた。  しかし、いまの沈黙状態な二人は、そんなに気まずいものではなかった。 そんな中、ふと女の子は口を開く。  その声は弱弱しかったものの、確かに少年の耳に届く。  「あの・・・えっと・・・さっきはありがと・・」  女の子は、顔を赤くしながらも、少年に話しかけた。  すると、それを聞いた少年は、最初は、鳩が豆鉄砲を食らったような顔をしていたが、笑顔に表情を変え、女の子に話しかける。  「ううん・・気にしなくていいよ僕の名前は、カインって言うんだ、宜しくね。君のお名前は?」  そういったカインに対し、女の子は、突然の自己紹介にもかかわらず、笑顔でカインに返事をした。  「私は、ユーナって言うの、こちらこそ宜しくね」  このときのユーナの笑顔は、天使みたいに美しく、ユーナ自身、今日あったばっかりにも関わらず、カインと仲良くしたいとこの笑顔を見ていると思えてくる。  この後のカインとユーナは打ち解けあったのか、てっぺんにあった太陽が、地平線の近くに沈むまで話し込んでいた。
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