~堕天~《聖から魔へ……水の陰謀》

8/8
前へ
/276ページ
次へ
「ねぇ、ミュー、僕が処刑されたら僕の事は忘れてね?」 「…え……?」 ミューの気持ちを僕から離さなければいけない 神様の娘がいつまでも罪人に、 死人に縛られてはいけない、 風の大天使フィードはこれから死ぬんだから 「僕はミューに幸せになってほしい、だから僕の事は忘れること、いいね?」 「嫌!」 珍しくはっきりと言うミューだけど、それじゃダメなんだ… ………できれば爽やかに別れたかった 僕は真剣な顔を作ってミューに告げた 「……はぁ……、迷惑なんだ…正直、口数も少ないし、肩書きは重いし、全然会えないし……………とにかく、もう僕には関わらないでくれ…」 「………ッ」 バタン! 流石に堪えたみたいだ、泣きそうな顔でミューは走り去っていった これで良いんだ… 「でも…やっぱり大好きだよ…」 ―――――――― あれから何日かたった、 あれ以来僕に面会が来ることはなく 僕は独房内でずっと封印を解くために使う魔力をため続けた カツン、カツン、カツン ガチャ、 「1269番、出ろ、刑の執行だ、」 「はい」 「これより罪人フィード・クロノスの堕天の儀を執り行う、罪人、何か言い残すことは?」 事務的な口調で執行員が問い掛ける 僕が天界に言い残すことは一つ、 「レインに気を付けなよ…」 「…それでは堕天の儀を始める」 僕の忠告は届いただろうか… 天界にはあまり心残りはないけど、兄さんとミュー、この二人には無事でいてほしい 『……Ж∬〝〟ъф…』 考え事をしてる間に 魔法で強制的に解放状態にされた僕の四枚の翼は漆黒に染まり、 手足と翼は封印の輪で固定された 『…さよなら、天界』 詠唱が止まるのと同時に足元に真っ暗な穴が開き、僕は魔界に墜ちていった                                 
/276ページ

最初のコメントを投稿しよう!

261人が本棚に入れています
本棚に追加