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「ねぇ、ミュー、僕が処刑されたら僕の事は忘れてね?」
「…え……?」
ミューの気持ちを僕から離さなければいけない
神様の娘がいつまでも罪人に、
死人に縛られてはいけない、
風の大天使フィードはこれから死ぬんだから
「僕はミューに幸せになってほしい、だから僕の事は忘れること、いいね?」
「嫌!」
珍しくはっきりと言うミューだけど、それじゃダメなんだ…
………できれば爽やかに別れたかった
僕は真剣な顔を作ってミューに告げた
「……はぁ……、迷惑なんだ…正直、口数も少ないし、肩書きは重いし、全然会えないし……………とにかく、もう僕には関わらないでくれ…」
「………ッ」
バタン!
流石に堪えたみたいだ、泣きそうな顔でミューは走り去っていった
これで良いんだ…
「でも…やっぱり大好きだよ…」
――――――――
あれから何日かたった、
あれ以来僕に面会が来ることはなく
僕は独房内でずっと封印を解くために使う魔力をため続けた
カツン、カツン、カツン
ガチャ、
「1269番、出ろ、刑の執行だ、」
「はい」
「これより罪人フィード・クロノスの堕天の儀を執り行う、罪人、何か言い残すことは?」
事務的な口調で執行員が問い掛ける
僕が天界に言い残すことは一つ、
「レインに気を付けなよ…」
「…それでは堕天の儀を始める」
僕の忠告は届いただろうか…
天界にはあまり心残りはないけど、兄さんとミュー、この二人には無事でいてほしい
『……Ж∬〝〟ъф…』
考え事をしてる間に
魔法で強制的に解放状態にされた僕の四枚の翼は漆黒に染まり、
手足と翼は封印の輪で固定された
『…さよなら、天界』
詠唱が止まるのと同時に足元に真っ暗な穴が開き、僕は魔界に墜ちていった
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