~堕天~《聖から魔へ……水の陰謀》

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僕がミューの魔力を追って辿り着いたのは一軒の小さな小屋、 壊れそうな程勢い良く扉を開けて中に入る 「…はなして」 「フフッ、ダメですよ、」 …僕が小屋の中で目にした光景は、 所々服を刻まれ、 氷の錠で壁に磔られるミューと、ニヤニヤとそれを見上げる仕事仲間の姿 「ミュー!」 僕は沸き上がる怒りを抑えながら叫んだ 「ようやく登場ですか?王子様?」 バカにするような仕事仲間レインの言葉に腸が煮え繰り返るが、 ぐっと堪える 全ては僕の仕事のせい 僕の仕事は天界の大気の管理 風の大天使と呼ばれるその仕事は言ってみれば神様の片腕のようなもの 大天使には三つの掟がある ・仕事は怠らない ・魔法を悪用しない ・争いは避ける これだけ守れば後は自由 そんな仕事だけど、 今はそれがとても憎い 三つ目の争いは避けると言う掟、 破れば問答無用で魔界に堕とされてしまう 「どうしました?来ないんですか?」 「………」 対する向こうも大天使 掟は向こうにも適応されるけど、こちらから攻撃を仕掛けるのはマズイ 最弱と言われるレイン、 能力はないが、頭が回る 隙を見てミューを連れて逃げよう 「来ないのなら大切な彼女は氷漬けにしますよ?」 僕がそう決めた瞬間、 レインが言いながらミューに右手を向ける 「きゃっ」 ピキピキと音を立てて足元から凍り付いていくミューを見て僕の中の何かが切れた 『…止めろ、』 「解放なんてして良いんですか?」 解放 簡単に言えば大天使の本気、 姿が変わったり武器が出てきたり形は様々でそれぞれ違う力がある 『僕がお前を黙らせれば問題ない』 髪は伸び、漆黒に染まり、瞳は金色に輝き、翼は四枚に増えて手には刀、 これが僕の解放
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