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「今日も晴れて良かったわね、祐ちゃん」
「それは良いけど茜、もう少し離れて歩け」
「えぇ~、いいじゃない。姉弟のスキンシップよ」
茜は一度、一般的な姉弟の定義を学んだ方がいいと思う。
少なくとも、「腕を組む」なんて行為を姉弟のスキンシップなんて呼ばない筈だ。
時々すれ違う人達の視線に何とか耐え抜き、食堂に到着すると、すでに紅葉達は朝食を食べ始めていた。
「おっ、やっと来たわね……あんた達本当に仲良いわね」
「ここまで望んではいないんだけどな……」
俺と茜の席も取っておいてくれたらしく、空席が二つ程用意されていた。その内の一つに腰掛ける。
「あら、ようやく来ましたね、祐介様」
と同時に後ろから聞こえて来た声に振り返る。
「おはようございます」
そこにいたのは、俺に柔らかな笑みを見せる、小柄な少女、「青園海美」。
※海美=マリン
体格に反した大人っぽい雰囲気、漆器のように艶々とした黒髪、上品な振る舞いが何とも言えないギャップを生み出し、育ちの良いどこかのお嬢様に見える。
――黙っていれば……。
マリンは時々……いや、結構な高確率で大胆な発言、行動を行う。普通の男子なら、赤面ないしは鼻血モノだろう。
ちなみに俺は後者に当たる。
「おう、おはよう。さて、俺も朝飯朝飯っと」
荷物を椅子の側に置き、俺は席を立った。座っただけで朝飯が運ばれて来るような、贅沢なシステムはこの学園には無い。
和食にするか洋食にするか、並びながら迷っていると、前からお盆を持った女の子が歩いて来た。
「あっ……おはよう、七原。来るの遅かったわね」
和食をお盆に乗せて、俺に挨拶する「黄崎綾音」。
陽光に照らせば、キラキラと光りそうな金髪を左右に結っている。
そして何より、黄崎のチャームポイントは、気の強さを窺わせるキッとつり上がった双眸。
一見すれば気難しくて取っ付きにくい印象を受けるが、黄崎にもちゃんと人を気遣える思いやりがある。
「…………」
「どうした? そんな難しい顔して」
「いえ……何か、どこかで微妙に失礼な紹介を受けたような気がしたのよ」
「…………」
補足。黄崎綾音は、勘がものすごく鋭い。
「それより、あんたは今日はどっちにするの?」
「う-ん……洋食も良いけど、なぁ……」
そこで俺はチラッと黄崎のお盆に乗ってる和食を見る。
「今日は黄崎と一緒の和食にしようかな」
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