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「なっ、なぁ!」
和食に決定したのを聞いた黄崎の顔が、何故か段々と赤くなっていく。
「何で私と一緒のメニューなのよ!?」
「えっ、いや……和食と言っても色々あるし、メニュー被るのが嫌ならちゃんと他のにするつもりだったからさ」
「べ、別に嫌だなんて言ってないでしょ! 私と一緒の物が食べたいなら、好きにすれば良いじゃない!」
そう言って黄崎は、フンと鼻を鳴らして席に戻っていった。
黄崎はさっきみたいに、急に機嫌が悪くなる時がままある。そして逆もまた然り。
未だにこれに関してはよく分かっていない。黄崎の謎な一面である。
ひとまずメニューを貰い、席に戻る。茜以外はみんな食べ終わる頃だった。
「おっ、やっと戻って来た。遅いわよゆう、す……け?」
俺のお盆を見て、翠が首を傾げる。
「へぇ、綾音と一緒のメニューにしたのね」
「いや、まぁ何と言うか、成り行き、で?」
結局黄崎と一緒にした。何かそうしないと後が怖い気がしてならなかった。
*
黄崎と一緒の朝食を取った事で紅葉達がむくれたりと、色々ありはしたが無事朝食も取り、俺達は学校へと向かっていた。
「ん? 何かしらあれ……」
昇降口の横辺りにたくさんの人だかりができていた。あの位置って確か……。
「あぁ。クラス替えの発表じゃないのか、あれ」
「全軍突撃ぃ!」
『おぉぉぉぉおっ!!』
「ぬおぁ!」
クラス替えと分かった途端、翠を先頭に全員俺を置いて走って行った。そこまで楽しみにしてたのか、クラス替え。
掲示板に張り出されてあるんだから、そこまで急ぐ必要性は無いと、俺はゆっくり歩いて人混みの中に入る。
一番前まで来たところで、俺は自分のクラスを確認する。何だかんだ言っても、やっぱりクラス替えは気になる訳で――
「やったぁ! また祐介君と同じ、Bクラスだぁ!」
「ふふ、私が祐介様と同じクラスになるのは必然的な事です。何も驚く事は無いですわ」
「これで5年連続同じクラスか。祐介、また1年よろしくね」
俺の楽しみを返せ。
楽しみを奪われた俺が他に気になるのは、どんな人と同じクラスなのかだ。ザッと目を通すと、何人か知った人が含まれている。ちなみに黄崎もその一人だ。
「なるほどね……ん?」
ふと、俺の横でプルプルと震えている茜が目に入った。何やらブツブツ言ってるようだが?
「何で……何で祐ちゃんと違うクラスなのよぉ!」
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