プロローグ

4/5
前へ
/193ページ
次へ
「なっ、なぁ!」  和食に決定したのを聞いた黄崎の顔が、何故か段々と赤くなっていく。 「何で私と一緒のメニューなのよ!?」 「えっ、いや……和食と言っても色々あるし、メニュー被るのが嫌ならちゃんと他のにするつもりだったからさ」 「べ、別に嫌だなんて言ってないでしょ! 私と一緒の物が食べたいなら、好きにすれば良いじゃない!」  そう言って黄崎は、フンと鼻を鳴らして席に戻っていった。  黄崎はさっきみたいに、急に機嫌が悪くなる時がままある。そして逆もまた然り。  未だにこれに関してはよく分かっていない。黄崎の謎な一面である。  ひとまずメニューを貰い、席に戻る。茜以外はみんな食べ終わる頃だった。 「おっ、やっと戻って来た。遅いわよゆう、す……け?」  俺のお盆を見て、翠が首を傾げる。 「へぇ、綾音と一緒のメニューにしたのね」 「いや、まぁ何と言うか、成り行き、で?」  結局黄崎と一緒にした。何かそうしないと後が怖い気がしてならなかった。      *  黄崎と一緒の朝食を取った事で紅葉達がむくれたりと、色々ありはしたが無事朝食も取り、俺達は学校へと向かっていた。 「ん? 何かしらあれ……」  昇降口の横辺りにたくさんの人だかりができていた。あの位置って確か……。 「あぁ。クラス替えの発表じゃないのか、あれ」 「全軍突撃ぃ!」 『おぉぉぉぉおっ!!』 「ぬおぁ!」  クラス替えと分かった途端、翠を先頭に全員俺を置いて走って行った。そこまで楽しみにしてたのか、クラス替え。  掲示板に張り出されてあるんだから、そこまで急ぐ必要性は無いと、俺はゆっくり歩いて人混みの中に入る。  一番前まで来たところで、俺は自分のクラスを確認する。何だかんだ言っても、やっぱりクラス替えは気になる訳で―― 「やったぁ! また祐介君と同じ、Bクラスだぁ!」 「ふふ、私が祐介様と同じクラスになるのは必然的な事です。何も驚く事は無いですわ」 「これで5年連続同じクラスか。祐介、また1年よろしくね」  俺の楽しみを返せ。  楽しみを奪われた俺が他に気になるのは、どんな人と同じクラスなのかだ。ザッと目を通すと、何人か知った人が含まれている。ちなみに黄崎もその一人だ。 「なるほどね……ん?」  ふと、俺の横でプルプルと震えている茜が目に入った。何やらブツブツ言ってるようだが? 「何で……何で祐ちゃんと違うクラスなのよぉ!」
/193ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1474人が本棚に入れています
本棚に追加